節税

最近の税務相談事例から:8

借金返済のための土地売却が非課税になる

【 Q 】

山本工業梶i仮称)は金属加工業で債務超過の会社です。金融機関からの返済の強い要請が続きました。そこで、二代名社長の山本さんは、会社の借金3億円を返済するために、親から引き継いだ神奈川県の個人所有の不動産を売却することにしました。税金はどうなりますか?

【 A 】

社長業をしている以上、会社の借入についての社長の個人保証はつきものです。今回は、連帯保証人の保証債務の履行の課税関係です。

社長の税金

不動産を売った山本社長の譲渡所得税は、非課税になる可能性があります。

まず、普通の不動産の譲渡ならどうなるか。親から受け継いだ不動産なので長期譲渡所得とすると3億円×20%(税率)=6000万円(税額)の税金がかかります。話を簡単にするために原価をゼロにしています。6000万円は結構な税額です。

そこで税理士の梶間さんに相談すると、条件しだいでこの6000万円が0になると言うのです。土地の譲渡が非課税になるための条件は3つです。

@保証債務の履行であること

A金融機関等の強い要請で会社への求償権を放棄すること

ここで、求償権と言うのは、保証人である山本社長が契約者本人(山本工業梶jの代わりに返済を行なった場合、代わりに返済した金額を会社に請求できる権利を言います。

B主たる債務者である会社が債務超過である。

この場合、山本工業鰍ヘ、「山本社長が求償権を放棄(債務免除)することによっても、なお債務超過(土地と上場株式は時価ベース)の状況にあり、なお、その求償権放棄の後において、売上高の増加、債務の減少等があった場合でも、この判定には影響しない。」ことが非課税の条件になりなります。

なんで山本社長が非課税になるかと言うと、山本工業鰍ヘ債務超過で返済困難で、山本社長は求償権を放棄するしかないからです。

  1. 土地売却が非課税になる条件
  2. 個人が保証債務の履行をする
  3. 個人が求償権を放棄する
  4. 会社が債務超過である

このように保証債務を履行するために不動産を売却してかつ求償権行使不能となったなら、保証債務履行額3億円については税務上では売却がなかったものとされます。つまり非課税になります。

妙な変な話ですが、自分の借金を返すために資産を売却して税金が安くなるという特例は、本人が破産状態でない限りありません。普通は税金がかかるのです。しかし、自分の会社の借金返済のための個人不動産の売却は非課税なのです。

しかし注意点もあります。もし山本社長の連帯保証が、会社が実質的に破綻した後での借入保証なら否認される可能性があります。つまり税務署は、「そんな状態での保証はその実態は贈与だ。保証ではない。」と考えるのです。

このようにこの譲渡税の特例は様々な注意点がありますので気をつけて専門家に相談して下さい。

領収書のあて名は山本社長

返済したのは山本社長です。山本社長は連帯保証の保証債務を履行したのです。ですから、銀行に3億円を返済するとときに、銀行からもらう領収書のあて名は「山本社長」です。ここで領収書のあて名を山本工業鰍ノすると、山本社長には譲渡所得税が6000万円かかります。領収書のあて名の違いで手残りが6000万円違うのでは大変な違いです。

領収書のあて名が山本工業鰍ナは、「山本社長は不動産を売り、3億円を会社に貸し付けた」と言うことになるのです。

会社の税金

山本工業鰍ヘ3億円の借金が棒引きされましたが、そのぶんは「債務免除益」として、利益に組み入れられます。もちろん、赤字が3億円以上あれば黒字にはならなりませんが、それ以下だと黒字になって法人税が課税されます。

ここで注意点があります。会社が債務超過でも、会社の決算書の赤字と、税務上の繰越欠損金は違います。税務上の繰越損失金がゼロだと債務免除益に42%の税金がかかってきますので要注意です。

注意する税金は2つある

個人の譲渡所得税20%が非課税になっても、法人税42%を負担するのでは大変です。