節税

最近の税務相談事例から:7

役員報酬の決め方

【 Q 】

同業者に税務調査が入り過大役員報酬で課税されました。正しい役員報酬の決め方を教えて下さい。

【 A 】

中小企業は、多くが同族会社で、株主の代表訴訟を気にすることなく役員報酬を決めることができます。しかし、勝手に役員報酬を決めて会社の税金を少なくされては、税務当局も黙っている訳にはいきません。ここに役員報酬の限度額をきちんと決めておく必要があります。

【 説明 】

限度額の考え方

では、税務当局は役員報酬の額をどう考えているかまず説明します。税務上は、「会社が役員報酬は原則として損金の額に参入されますが、過大な報酬については損金算入しない」(法人税法34条)としています。この過大役員報酬は、@実質基準とA形式基準のいずれかの金額を言い、両基準がある場合には、各基準で計算した過大額の大きい方の金額を過大役員報酬とするとしています(法人法施行令69条)。そして、支給限度額を超えると、その超えた部分については過大役員報酬となり、損金算入が認められません。

では、過大役員報酬の額を算定する実質基準と形式基準を説明しましょう。

過大役員報酬の限度額の判定基準

基準 内容
@実質基準 相当な役員報酬
A形式基準 定款・株主総会で決めてある限度額

@実質基準

実質基準のよる過大役員報酬額は「役員報酬が、その役員の職務内容、会社の売上、従業員給料の支払状況、同業種同規模会社の役員報酬等に照らして、その役員の職務の対価をして相当と認められる金額を超える金額」を言います。

A形式基準

形式基準の過大役員報酬額は、「役員報酬の支給限度額が会社の定款又は株主総会の議決により定められている会社で、支給した役員報酬が定款・株主総会の限度額を超える金額」とされます。

実務上は、定款で役員報酬の限度額を定めると、取締役の報酬額を改訂するたびに株主総会の特別決議によって定款を変更しなければならず、手続きが非常に面倒になるため、通常は株主総会の決議で決めます。

そして、株主総会の決議で定めるといっても、通常は取締役の報酬の総額を「○○万円以内」と定めるだけで、個々の取締役にいくら支払うかについては取締役会の決議に一任できます。

会社でやること

@株主総会議事録を作る

先ず、役員全員の年間支給額について、株主総会(有限会社であれば、社員総会)で定めておく必要があります。この場合、監査役の分は取締役分と区分して決議する必要があります。

具体的に言うと、総会決議の場合は「取締役の報酬額を年額6000万円以内(使用人兼務取締役の使用人部分の給与を含まない)とする。また、監査役の報酬は年額800万円以内とする。その配分方法は取締役会一任とする。」と決議し記事録に残します。

この場合、金額を多めに決めておくと、役員報酬を増額しても新しい株主総会議事録をいちいち作る必要がなく、従来の議事録の範囲内で収まり便利です。

A役員報酬は毎月定額で

役員報酬は、例えば、株主総会を開催する月、年1回見直す程度が良いでしょう。毎月の利益を見ながら、その都度、報酬額を増額すると、増額部分が賞与とみなされる危険性が大です。つまり。役員報酬をころころ変えると、利益操作と誤解されます。

B非常勤役員の報酬問題

たまに問題になるのは非常勤役員です。株式会社の場合、取締役は最低3人、監査役1名が必要です。この場合、嫁、娘や故郷の父母を取締役や監査役にあてる場合があります。

この場合は、親族取締役に会社の状況を説明しアドバイスを受けたり、親族監査役に決算書を郵送し監査してもらっていると言って役員報酬を支給しています。この場合の役員報酬の限度額は明確には決まっていませんが月15万円以上になってくると厳しい感じがします。

ですからなるべく、取締役・監査役の職務の相当の対価がいくらかの根拠を説明できるようにしておくことが必要なのです。