資金

支払期日を過ぎた
売掛金の徹底回収(2)!

商品の販売代金などの売掛金(売上債権)の確実な回収は、企業の命運を左右するほど重要な事項です。売掛金の回収方法には大きく分けて任意回収と法的回収があります。任意回収とは通常の売掛金の回収で、法的回収とは裁判所の力を借りる回収を言います。今月は法的回収の話です。

売掛金の徹底回収

支払日経過 滞留売掛金 事故扱い
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任意回収 法的回収

脅しの内容証明郵便

内容証明郵便とは、簡単に言うと、手紙型の請求書です。普通の手紙と違うのは、内容を郵便局が確認し、5年間保存されるのです。

内容証明郵便の効果は、相手方に心理的圧力をかけることです。滞留売掛先に内容証明郵便を送付するだけでも、相手が威圧感を感じ結構、払ってってくれることがあります。しかし、あくまでも相手がどう感じるかで支払保証がある訳ではありません。

内容証明郵便は自社で簡単に作成し相手に送付できますが、相手にプレッシャーを与えることが目的ですから、裁判所内の郵便局から送付したり(法律的には特に影響はないのですが)、弁護氏名で送付したりします。通常は、内容証明郵便で支払いが行われないときは、次は裁判所の力を使います。

支払督促で右パンチ

裁判所の力を使うパターンは通常3つです。@支払督促、A少額訴訟、B通常裁判の3つです。それぞれ使い方が違うので説明しましょう。

法的回収の流れ

任意回収 内容証明郵便
(調停による話合)
法的回収 支払督促 強制執行
(つまり差押)
少額訴訟
通常訴訟

支払督促とは、債務の存在、金額が決まっているのに相手が何だか払わない場合に使います。

支払督促は裁判所から、売掛先へ支払いをするよう命令を出してもらう制度で、正式裁判することなく強制執行ができる制度です。経費は数千円と安く、裁判がない手続きなので簡単です。うまくいけば強制執行まで1月程度と早いのが特徴です。

具体的には、申立てがされると、書記官は、証拠の提出がなくても、申立書の審査だけで、申立てどうおりの支払を命ずる支払督促を出します。

そして、支払督促が債務者に送達された日の翌日から2週間以内に売掛先が異議を申し出なければ、債権者が2週間経過日の翌日から30日以内に仮執行宣言の申立てをすることにより、強制執行が可能となります。逆に、売掛先が2週間以内に異議を申し立てれば、通常訴訟に移行します。

注意点としては通常訴訟に移行した場合には、債務者の住所地で裁判が進められるので、相手が遠方の場合は多少面倒になります。

少額訴訟で左パンチ

少額訴訟は60万円以下の金銭請求にのみ利用できる簡易な手続です。この少額訴訟は、原則として1回で審理を済ませ、直ちに判決を言い渡すか、和解を成立させ、決着が早くつきます。経費は数千円です。弁護士がいなくとも十分できます。

具体的には、少額訴訟の提起は、原則として債権者または債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に、少額訴訟用の訴状を書いて提出します。

訴訟用紙は定型で、簡易裁判所に用意されています。住所、氏名などを記入したら、必要事項にチェックを入れ、どんな内容で訴えたいのか書きます。記入方法は超簡単です。あとは証拠となるもの(契約書、請求書、納品書など)を一緒に提出します。

だいたい訴状を提出してから2週間後に出廷するよう呼び出し状がきます。相手が裁判所からの呼び出しを受けても欠席したり、弁明書など書類の提出をしなければ、原告の勝訴判決が直ちに出されます。相手が異議申し立てをすると通常裁判に移行されます。少額訴訟では控訴は出来ません。

通常訴訟でラストパンチ

通常訴訟は弁護士を使い裁判所を利用する最後の方法です。売掛金の金額が140万円以下なら 簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に訴状を提出します。訴訟には費用(特に弁護士費用)と時間(半年から2年程度)がかかります。会社経営では当然、費用対効果を考えます。

法的回収のまとめ

支払督促 少額訴訟 通常裁判
経費 数千円 数千円 特に弁護士費用
(印紙+切手) (印紙+切手)
時間 1〜2ケ月 1ケ月程度 半年〜2年程度
難易度 自社で可 自社で可 自社では難
外注なら 弁護士 弁護士 弁護士
司法書士 司法書士 司法書士
(簡易裁判所)
裁判 なし 1回 数回

社長のための注意点

支払能力のチェック

変な話ですが法律で勝っても相手にお金がないと売掛金の回収ができません。相手の支払能力を押さえ、預金なら取引銀行・支店名がどこか、売掛債権はどの会社に持っているかなど、回収の財源を考えておきます。

売掛金の確定

裁判ですから売掛金の金額や納品を証明する証拠を揃えておきます。つまり、裁判所を説得する材料なくして裁判所の力を利用できません。

時効対策

売掛金の時効は2年です。時効は、@売掛金の一部回収、A債務承諾書の作成で中断させます。時効の中断は時効を初めから再スタートさせます。B内容証明郵便だと、時効完成は6ヶ月先に延びます。