節税

最近の税務相談事例から:6

民事再生法の債権者

【 Q 】

得意先が急に民事再生法を申請しました。当社は大変です。税務の取扱を教えて下さい。

【 A 】

まず民事再生法の流れを確認します。

@裁判所に申立→A債権届出〜債権者集会での決定→B裁判所による認可決定

民事再生法の進行状況に応じて税務の処理が変わります。

民事手続き開始の申立(形式基準)
個別貸倒引当金

実務は、税務処理の前にまず裁判所から届く再生債権届出書に債権額を記入し、指定期日までに郵送します。税務処理は、申請の時点で貸倒引当金として「債権額の50%」を費用計上できます。

また、得意先が民事再生法を申請した書類は保存しておかないと、税務上は、費用計上の事由が生じていないとみなされるので注意が必要です(法令96C、法規則25の4)

再生計画の認可決定があった

この「再生計画の認可決定」で「切り捨てられることが決まった部分」が「貸倒損失」として費用計上できます(法基通9−6−1)。また、弁済はされるけれども「5年を超える部分の金額」は貸倒引当金として費用計上できます。

また、再生手続の開始決定と同時に、裁判所は再生債権の届出期間と調査期間とを定め、これを官報に公告し、これを再生債権者に送達することになっています(民事再生法35条)。ですから、債権者は再生手続開始決定を示す官報及び裁判所からの書面を保存することが必要になります。

民事再生法の税務

民事再生法の手続き 債権者の税務
@裁判所の申し立て 50%の貸倒引当金

A債権届出
債権者会議
処理なし
B裁判所の認可決定 切捨額は貸倒損失

高額納税者の秘密

毎年5月に確定申告で所得税が1000万円を超えた高額納税者の氏名や税額などが公示されます。高額納税者公示制度です。

今年は2004年分の高額納税者番付で、サラリーマン(給与所得者)が初めてトップになり話題になりました。サラリーマンは高額納税者のトップには縁遠いと思われているからでしょう。

【表】2004年分の高額納税者ベスト10
(単位万円、敬称略、カッコ内は前年順位)

氏名 職業 所得税額
1 清原 達郎 タワー投資顧問運用部長 369,238
2 斎藤  成 前消費者金融会社会長 120,152
3 柳井  正 ユニクロ創業者 108,393
4 斎藤 一人 健康食品販売業 107,388
5 高田 和彦 元自動車部品メーカー役員 105,056
6 吉田 嘉明 ディーエイチシー社長 101,221
7 深江今朝夫 呉服販売会社会長 99,700
8 福田 吉孝 アイフル社長 92,708
9 吉田 照哉 社台ファーム代表 92,457
# 田中 孝顕 自己啓発資材販売会社社長 88,916

では、日本のお金持ちとはどんな人々なのか、研究した人がいます。「日本のお金持ちの研究」を言う本では、二人の経済学者がアンケートなどを通じて高所得者の実情を探っています。本書は「企業経営者と医師が高額納税者の二大メジャー職業」と指摘しています。経営者について言えば、1960年代の高所得者は製造業、建設業など大企業経営者だったのに対し、現在はITなどの情報通信や消費者金融、化粧品製造、飲食チェーンなどの事業を自ら始めた人が圧倒的に多くなります。

医師の場合は、大学病院の教授より、眼科や美容外科の開業医の方が経済的成功を収めていると言います。

日本お金持ちの研究
橘木俊詔・森剛志著
(日経1800円)

さて、日本の高額納税者公示制度はなぜあるのでしょうか?日本では1947年に高額納税者公示制度を導入しました。当初の制度の目的は「高額所得者の所得金額を公示することで、第三者にチェックしてもらい脱税を牽制すること」でした。また、高額所得者の社会貢献を明らかにするといった肯定的な面もありました。高額納税者の名簿が公示されると、報道機関が総合または職業別に順位をつけ、論評するからです。

しかし、デメリットもあります。公示された事で裕福な素性が公になり、寄付の要請やセールス勧誘に悩まされたり、時には恐喝や詐欺の犯罪に巻き込まれる心配もありました。最近では高額納税者名簿をもとに「スキャンダルをばらす」と脅す事件が起き、警官を装った振り込め詐欺グループは、高額納税者の名簿を所持していました。さらに時代の流れとしては、個人情報保護の観点から制度の見直しを求める声が強まっています。

そこで、政府税制調査会(首相の諮問機関)は5月17日の会合で、高額納税者公示制度について、廃止を含め、見直しを進める方向で一致しました。どうも今年が最後の高額納税者公示のようです。