資金

支払期日を過ぎた
売掛金の徹底回収(1)!

商品の販売代金などの売掛金(売上債権)の確実な回収は、企業の命運を左右するほど重要な事項です。売掛金の回収方法には大きく分けて任意回収と法的回収があります。任意回収とは通常の売掛金の回収で、法的回収とは裁判所の力を借りる回収を言います。今月は任意回収の話です。

売掛金の徹底回収

支払日経過 滞留売掛金 事故扱い
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任意回収 法的回収

回収の基本

売上は、受注、請求、回収の3つが揃って完了です。私の事務所に時折、社長より売掛金の回収についての相談がありますが、まず日常では回収管理をどうすべきか、コツをお話し致します。

日常の回収管理

支払期日を過ぎた売掛金の回収の鉄則は「@早く、Aうるさく」です。例えば

【 早く 】

  • 請求書は(所定のルールで)速やかに出す。
  • 支払期日の入金管理は当日必ず行う

【 うるさく 】

  • 遅れたら経理担当はすぐ得意先に電話をする。※なお、経理担当の若い女性が督促の電話をする分には取引に悪影響はでません。
  • 支払期日前には、入金確認の電話を入れる。
  • おかしいと思ったら現地訪問
  • 未入金先には毎月再請求書を出す。

回収マニュアル

では具体的に売掛金の回収業務を見てみます。売上代金の支払期日が過ぎた場合の回収手続きの流れです。ある優良会社の実例です。

売掛金の回収手続きの業務フロー案:再請求・督促編

【 ポイント】@早く・Aうるさく
【 留意点 】

  1. ◆第1段階:支払い期日を過ぎたら
  2. 電話催促し、支払予定日を確認する
  3. 再請求書は毎月出す
  4. 未入金の旨を担当者に連絡する
  1. ◆第2段階:2回目の支払期日を過ぎた
  2. 電話催促
  3. 訪問督促(10万円以上)
  4. 入金予定日前に電話で入金の念押し
  5. 支払能力の確認
  6. 追加の仕事は止める
  1. ◆第3段階:3回目の支払期日を過ぎた
  2. 電話催促
  3. 直接訪問
  4. 支払約定書(個人保証入り)を入手する

売掛金の徹底回収

上記でも回収されない売掛金は先方と支払い交渉です。目的は回収です。今までの経験に照らして任意回収のポイントを書きます。

目的は回収

目的は回収です。債権回収の仕事とは、債務者に返済をうるさく言うことが4割で、残り6割は債務者が返済しやすい条件を作ることです。例えば、分割払いを認めたり、一部入金でももらえる時は必ずもらっておきます。

支払能力を調べる

おかしな話ですが、仮に裁判で勝ったから払えと言っても、お金のないものからは売掛金の回収はできません。ですから事前に相手の支払能力(資産状態)の調査をしておくことが必要です。手続きは、現地を見ます。会社所有土地や社長の自宅不動産は登記簿を入手し権利関係を確認します。信用調査データを入手します。また、保証人の候補を物色しておきます。

債務を確定させる

有効に債権を実現させるためには、債権の金額と納品の事実の証拠を確保しておく必要があります。普通は注文書と納品書があればベストです。将来、法的手続きに入ったときに役立ちます。また、電話注文を受ける場合の「メモ書き」でも、役に立ちそうな書類は何でも探しておきます。もしなければ、支払約定書を社長からもらっておくことが賢明です。

支払約定書

債権回収の交渉していくうちに相手の出方が分かってきます。債務者が支払期日までに支払えず、支払期日の延長を申し込んできたら、支払約定書を作ります。この場合は、社長や役員の個人の保証を取り付けたり、不動産などの担保を要求します。公正証書にすれば100点です。

少し説明すると社長の個人保証は当然もらうのですが、売掛金を支払わない社長は普通あまりお金を持っていません。だから社長以外の人の個人保証がほしいのです。公正証書は公証人が、当事者の申し立てに基づいて作成するものですから、裁判所の確定した判決を同じ効果をもつのです。公証人役場は親切に事前相談にのってくれます。弁護士さんに相談しなくても十分できます。

所有権留保の利用

納品伝票を活用しリスクのある取引先については、納品伝票に所有権留保の文字を入れておきます。これは知恵の話です。つまり、伝票に下に「この伝票に記載した商品の所有権は代金の決済があったときに買い主に移転するものとします」と横版を押しておくのです。代金決済まで商品は当社のものになります。

相殺を利用する

回収が心配なら得意先から商品を仕入れて相殺します。既存の買掛金があれば相殺します。

商品の引き上げ

同じく回収が心配なら得意先の担当者の同意を得て商品を引き上げます。

時効に注意する

滞留売掛金はほっておかないことが当然ですが、時効に注意します。売掛金の時効は2年、貸付金は5年です。ただ、時効は相手が使わなければ成立しませんのであきらめないで下さい。