資金

フジテレビにならないための
社長の株主対策!

連日報道されているライブドアによるニッポン放送株式取得は他人ごとではない。未公開の中小企業でも今回は自社の株主構成を検討してみたい。

社長がなぜ会社で威張れるのか?

日頃、社長の皆様は考えていないかも知れませんが、社長がなぜ会社でいばれるか御存じですか?? 答えは「会社の株を持っているからです」。今月は一度、自社の株主構成を考えて下さい。

まず、自社の株主構成を見て下さい。通常、以下のようにオーナー、親戚、役員、従業員などの株主が考えられます。

社長は皆、自分に忠誠を尽くす株主と考えているかも知れませんが、それは御社の経営状況が良いときの話で経営状況が悪くなった場合はどうなるかわかりません。そこで社長の経営権が法律上、守られているか確認してみましょう。

株主別の安定度

株主 安定度
オーナー
オーナーの親族 準安定
役員
従業員、従業員持株会、銀行取引先 一般
ベンチャーキャピタル

株主の権利を知る

株主権利のポイントは、株主総会での決定権です。株主総会は普通決議と特別決議の2つの決議がありますが、株主総会でこの決定権を持つどうかが重要です。

株主の権利

保有議決権 株主の権利
1株以上 ・各種書類の閲覧・謄写請求権
・株主代表訴訟提起権(6ヶ月間継続保有要)
1%以上を保有
(6ヶ月以上)
・株主提案権
3%以上を保有 ・会計帳簿の閲覧謄写請求権
3%以上を保有
(6ヶ月以上)
・株主総会招集請求権
・取締役・監査役の解任請求権
1/3超を保有 特別決議で拒否権を行使できる
1/2超を保有 普通決議で経営権の獲得
・取締役、監査役の株主総会での選任決議
・取締役・監査役の報酬額の株主総会決議
・計算書類の株主総会承認
2/3以上を保有 特別決議で重要事項を何でも決められる
・定款変更決議等の特別決議の成立
・取締役・監査役解任権
・新株・転換社債等の有利発行
・減資・合併・定款変更・営業譲渡・解散
・株式交換・株式移転・会社分割

大きなボーダーラインは議決権の1/3、1/2、2/3です。

株主の議決権は1/3超で特別決議を否決できます。つまり、議決権の1/3超を持つと株主は合併、解散などの会社の超重要事項の否決権を持ち、オーナーの完全支配はなくなります。

次のラインは1/2超。議決権の1/2超で役員の選任権、分かりやすく言うと経営権を取得できます。議決権の2/3以上になると株主総会の特別決議の議決権を有するので会社の超重要事項の最終決定を自分でできます。

ですから社長が会社をマイカンパニーとするには議決権の2/3以上の株式が必要となります。

事業承継では2/3以上を跡取りに

ところで最近、私の知り合いの会計事務所であったことです。

  • 例1 長男、次女、三女の大病院で相続がありました。長男が跡取りなんですが、病院を1/3づつ相続せよとの遺言でした。しばらくして家庭争議が勃発。それが原因で病院経営がうまくいかなくなりました。
  • 例2 この会社では従業員持株制度を実施していました。ところがその社員が退社し、その後、株主総会議事録の閲覧を要請してきました。そして議事録に役員報酬の決議が記載されていないことを理由に業務上横領で告訴され、結果、お家騒動が起こりました。

相続では、一般的に、非課税枠を最大限に活用するには複数人に分配した方が税制上有利です。しかし、会社支配権のことを考慮した場合はあまりお勧めできません。

親族を後継者にする場合には、後継者には株式の2/3以上、少なくとも1/2超、株式を寄せないと会社の経営が不安定になります。つまり、後継者が会社で威張るには、法律的には2/3以上の株式が必要です。

そこで株式を移転する際の税制上もっとも有利な方法について言えば、無税枠を使うなら贈与の非課税枠110万円ずつ何年もかけて生前贈与したり、贈与税率を考えて有税で300万円程度を贈与したりします。個々の企業の実情にあった方法を選択し贈与するのです。いずれにしろ、相続についてはオーナーを唸らすような妙案はないということを理解しておいてください。