増益

増収増益の鉄人(3)
御存じ セブンイレブン 鈴木敏文会長

鈴木敏文氏は日本のコンビニエンスストア導入の先駆けであり、一昨年8月に1万店を達成したセブンイレブンの会長です。セブンイレブンは24期連続で増収増益、全店の2004年2月期の売上高は2兆3431億円で、スーパーや百貨店を含めても売上高No.1、日本最大の小売業にまで成長しました。今月は、セブンイレブン会長兼イトーヨーカ堂の会長でもある鈴木敏文氏の経営法を見てみましょう。

1973年にセブンイレブンジャパンを設立。小売業最大手。店舗数1万超。売上4723億円、経常利益が1700億円(2004/3)

商売の基本原則

まず、鈴木会長の商売の基本原則を明らかにします。鈴木会長は、商売の基本原則を貫徹しないと、一回は集客できても売上の継続はできないと言います。その鈴木会長の言うセブンイレブンの商売の基本原則とは、「品揃え」「鮮度管理」「フレンドリーサービス」「クリンリネス(清潔)」の4つです。きわめてシンプルな原則ですが、各店舗や本部がこれを徹底し、継続していくことが大切です。そして、常にお客様第一の視点で店作りを考えていきます。

一つ「品揃え」だけ例をあげると、小売業では、晴れている時と雨が降っている時、あるいは湿度が低い時と蒸し暑い時で、品揃えが違います。もっと言えば朝方と夕方では品揃えが違うのです。例えば、同じ夏でもおでんや冷やし中華はその日の気温によって、売れ行きが大きく違ってくるのです。セブンイレブンの経営指導員には1日5回の天気情報が送られてきます。天候に合わせた発注の指導をするためです。店頭では店員が商品の前出しを行い、ラベルを正面に向けます(フェイス・アップと言う)。セブンイレブンでは全商品を単品管理しています。

 

多店舗展開のFC展開

セブンイレブン成長の秘訣はFC利用による多店舗展開にあります。 フランチャイズビジネスと言うのは、セブンイレブンの商標(看板)の使用や経営ノウハウの提供など「商業上の権利」の使用権を加盟者に与え、その見返りとして加盟者からチャージをとる方式です。セブンイレブンの本部に支払うチャージには、
・商標の使用許諾料
・設備の経費(POSシステム経費を含む)
・定期棚卸サービス
・広告(テレビやラジオ)
・会計簿記サービス
・経費相談サービス
・水道光熱費
・損害保険料
・報告用書式
・帳票類
があります。

ドミナント戦略

コンビニエンスストアの商圏をご存じでしょうか。コンビニは最寄品を中心に扱い、商圏は500m程度です。と言うことは、今の店から500m先へ行くと、また別の商圏があると言うことです。セブンイレブンは商圏を重ならないようにしてある特定地域に集中して出店するドミナント戦略を取っています。地域集中的な出店は配送効率、知名度、本部指導の面で有利です。次々に出店する店舗にイメージがドミノ倒しに似ているのでドミナント戦略と言うのです。

FC本部の特徴

現在、鈴木敏文氏は毎週、全国1500名の経営指導員を集めFC会議を行い、檄をとばします。以下は鈴木敏文語録です。

商売の基本原則を徹底する

品揃え、鮮度管理、クリンリネス、フレンドリーサービスのことです。

仮説と検証 

例えば「ざるそば」は夏の商品だと限定してしまったらとんでもない間違いです。正月にざるそばを品揃えしたとしても確実に売れます。冬だってアイスクリームは相当売れるのです。

こうした現実からしても、昔のような発想のままで、季節を考えるのは間違いだとわかります。何が言いたいかと言うと、お客様が今何を必要としているかと言う仮説を立てて、試してやってみることを「仮説・検証」と言います。これは重要です。

差別化の条件

セブンイレブンが創業以来取り組んできたことは、味と鮮度のいいファーストフードをお客様に提供することです。まさにお客様の買い物動向は経済学ではなく、お客様の心理で考える時代であり、安いものなら売れる時代は終わったのです。

加盟店の説得と納得

レギュラーチェーン(直営店)とフランチャイズチェーン(加盟店)とは命令系統が異なり、全く違う発想が必要です。例えば、加盟店オーナーがどうしても自店をきれいにしない場合は、担当指導員が毎朝行って、自分で掃除をしてみせるのも一つの方法です。指導員の仕事というのは、オーナーさんを説得し、納得してもらってその行動が変わったときに初めて仕事をしたことになるのです。

1万通りのやり方

セブンイレブンは一万店全部が個店対応します。1万店全部の店に一律に同じことをやっていたのでは、拡大均衡は望めません。

オーナーの教育マニュアルは必要ない

オーナーさんの中には、従業員やパートのための教育マニュアルや教育のためのビデオを作って欲しいという人がいます。しかし、そのようなものは全く不要です。初心者の加盟店候補に対するカリキュラムや教育マニュアルは完備しているでしょう。しかし、一旦開業したら、教育はテクニックではなく、開店後はオーナーの率先垂範しかないからです。

それとここでは、誌面の関係で詳述しませんが、セブンイレブンには第5次システムが導入されています。これにより各店舗では、ほとんど全てのことがわかります。例えば、近くの小学校で運動会があれば、小学校で運動会が開催される場合の蓄積された売れ筋データがすぐわかり、店長は売れ筋の○○お弁当や、△△おにぎりの発注数量が分かるのです。