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増益

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卸の中抜き時代と言われ、淘汰(とうた)の嵐が吹き荒れる食品卸業界。その中にあって菱食(リョーショク)は2004年12月期の単体決算19期連続の増収増益を達成しました。単体売上7321億、経常利益80億円。社員1717名。

廣田正

廣田正。1933年生まれ。現在72歳。慶応大学卒、1989年に菱食社長、2003年会長。休日は散歩や歴史書愛読。

19年連続増収の秘密

広田正氏に連続増収増益の理由を聞くと、広田氏は「売上高経常利益率を毎年0.04ポイントから0.05ポイントずつ改善することならできるのでしょう」。この積み重ねで20年近く取り組んでいると売上高経常利益率が1%になるわけです。」と答える。

広田氏が卸会社に入社して8年目の昭和37年に「流通革命」(林周二著)が出版さて、広田氏は内容に衝撃を受ける。そこで展開されていたのは問屋不要論だった。広田氏の執務室には「流通革命」の初版本があります。「くじけそうになったとき、この本を手にして読み直します。すると、自然とファイトがわいてきます。」広田氏の19年は、卸の存在価値を追求した19年なのです。

卸の基本理念

卸の基本理念は、「小売業の繁栄なくして卸売業の繁栄はない」創業以来、一貫した広田氏の事業姿勢です。また、広田は言葉を変えて「生産起点から消費者起点への転換」、「小売りの声は天の声」、とも言っています。

この実現のために菱食の広田は、食品流通に必要な物流(ロジスティック)、商品調達、情報システム、商品開発、食品流通の課題にフル機能で対応します。菱食は小売業の機能を代替することを目指し、役割はコンビニの本部機能に近いものです。

食品のフルライン化

菱食の商品政策は、食品卸に専念し、食品のフルライン化を優先します。

中核企業を中心に消費者の求めるバラエティ豊かな「食」を取揃え、小売業等お客様のニーズにお応えしています。菱食は、内食(ナイショク)、中食(ナカショク)、外食の食のフルシーンに、フルライン・フルカテゴリーでお応えします。

菱食はもともと、加工食品から出発しましたが、酒類、菓子、低温食品など食品のフルラインを実現し、大手中堅の小売業にも取引の拡大が可能となりました。特にフルラインの要望はスーパーが強く、フルライン一括流通なら、小売り側は発注や品出し時間を節約でき業務の効率化を実現できるのです。

経営の3つの柱

「小売業の繁栄なくして卸売業の繁栄はない」の実現は、小売業の店舗の効率化・省力化のためには何が必要か”、“どんなシステムが最適か”を日々追及します。そして、それを実現するのが「新営業」「新物流」「新管理」です。

 

数値管理で改革を推進する

新営業

「新営業」は、小売業のMD(品揃え)や販売促進までも包括した提案型営業活動のことです。全営業マンが最新の情報を共有化します。リョーショクは出荷データ、市場データ、メーカーの情報を、イントラネットを通じてデータベースとして活用します。菱食では、最新の分析データに基づくマーケティング戦略を提案しています。

さらに、それぞれの商圏に最も適した品揃えを検討したり、顧客の引き付け購買意欲をかきたてる売場づくりや販促企画など、充実したRSリテールサポート(小売店支援策)を提供します。最新の食卓のトレンドをとらえた食卓データを駆使した52週の販促企画の提案や、来店頻度を高めるために、優良顧客との絆を強化し、顧客データを基に上位顧客に重点を置いたプロモーションを展開するFSP(フリークエント・ショパーズ・プログラム)など、効率的なマーケティングをサポートしています。

  • 販売効率分析…FSP
  • 市場動向分析…商品情報
  • 棚割り提案…売場づくり、品揃え
  • 販促提案…52週の販促企画
  • 価格提案

では、菱食の営業サポートの一例をみてみよう。例えば、「気温が25度を超えると『冷しゃぶ』が売れる」「10歳代までの子供がいる家庭で特に人気がある」。菱食の営業担当者は毎月、こんな営業リポートを全国のスーパーや小売店に届けます。季節や気温、年中行事など様々な要素を分析し、店頭での販売企画を考え、毎週提案します。コンビニの本部と同じです。菱食は、調査会社を通じ、首都圏300世帯の毎日の買い物や献立を細かく調べ上げるデータがバックにあります。

新営業ライブラリー

「新物流」

リョーショクの「新物流」は、消費(者)起点の食品流通を目指し、必要なものを必要な時に必要な分だけを高鮮度・高精度で供給することを基本としています。そこで、RDCと言う商品を小分けをするセンターと、FDCと言う得意先に最終配送するセンターとを組合せて全国をカバーし、顧客満足の向上とトータル物流コストの削減を目指します。菱食は、現在、加工食品、酒類、菓子、冷凍・チルド、業務用カテゴリー商品を取組先小売業にフルラインで一括物流しています。

菱食のリテール・サポート

首都圏RDCで小分けする

RDC-FDCネットワークの概念図

菱食の物流の実際を見てみましょう。

例えば、神奈川県愛川町にある菱食の愛川専用物流事業所物流センター(SDC)では4時間で加工食品を倉庫から取り出し、相鉄ローゼンの県内61店舗の2500の棚に合わせて仕分けします。ミス発生率は100万分の1のレベル。店側は手間がかかる仕分けや検品作業から解放され、店頭での接客など「小売りの本分」に専念できます。ここで菱食が対価として受け取るのは、単なる売買差益ではなく、商品の仕分けや配送への手数料も受け取ります。

菱食の目標は、小売業から「そこまでやられたら仕事がなくなる」といわれることです。

新管理

新管理と言っても根底は「基本の徹底」ですが、「新管理」システムは、債権・債務管理システムや得意先別損益管理システムなど新たな情報を提供します。これら新管理システムを有効活用することで、営業活動を的確にサポートし、さらなる業績向上へつなげていきます。

管理部門では経理業務のレベルアップ、ペーパレス化などに取り組み、業務の一層の効率化や経理部門の統合を推進しています。

財務面では、リョーショク独自のCMS(親会社で資金を集中管理する)として「TRENETS」を導入し、グループトータルの財務体質の改善・強化につとめており、現在、無借金の経営を続けています。

  • 常に「基本の徹底」。
  • 増益に向けた決定した利益管理(予実管理・損益管理)
  • 債権債務の管理強化
  • グループ経営で財務体質強化

NEW-TOMAS

「情報」を中心に「新営業」「新物流」「新管理」を有機的に結合し、機能強化を実現した情報システムが「NEW-TOMAS」(ニュートーマス)です。

リョーショクの基幹システムNEW-TOMASは、年間で1億5千万件以上ものデータを処理しています。小売業とのネットワークには、EDI(Electronic Data Interchange電子商取引)が機能します。定時定配、欠品防止、鮮度管理といった小売業から求められる機能を支えています。各取引先メーカーとはVAN(Value Added Network付加価値通信網)で結ばれ、自社内およびグループ企業間はNEW-TOMASが機能します。それらが有機的に結合し、消費起点の流通プロセス全体を網羅する企業間ネットワークを形成しています

NEW−TOMASが三者にもたらす効果

【梶間のズバリ一言】

同じ三菱商事グループの卸でも、明治屋は10期連続での減収で再編され、他方で菱食は19期連続の増収増益。同じ業界でも社長の姿勢と取る戦略で会社の売上、利益は大きく変わると強く感じた事例です。

さて、菱食です。広田会長の19年は、卸の存在価値、つまり「小売りの繁栄が卸の繁栄」を磨き続けた19年でした。菱食の「新営業」「新物流」は、「IT+業務改善努力+規模の利益」の賜です。イオンのように自社物流にこだわる小売りもありますが、通常の小売りはイオンのような物流センターは持ち得ず、卸の存在価値はまだあります。

菱食のようなカレゴリーマネジメントはコンビニの単品管理に勝てないと聞いたこともあります。しかし、私は、広田氏の「卸の産業化」に今後も期待したいと感じました。
(写真は菱食Webより引用しました)