資金

黒字企業にみる
借入金限度額の秘訣!

第43号2005年10月

資金
黒字企業にみる
借入金限度額の秘訣!
節税
最近の税務相談事例から:9!
増益
増収増益の鉄人:10
卸の存在価値を磨く 菱食 広田正
増販
売上増には、方程式があった?!

景気が業種によりまだら模様で良くなっているようです。そろそろ、工場なら設備投資、小売りなら新規出店がでてくる時期です。これら必要資金の調達を自己資金で全てまかなえればよいのですが、実際には自己資金だけでは不足することが多く、金融機関から借入れが必要になります。

しかし、日本の社長にはお金に困ったら、「お金を借りると言う」、借り癖やついている社長をときおり、見かけます。事業の長期的な発展を考えた場合、社長は必ず借入の限度額をしっておくことが必要になります。

借入の限度額ですが、従来からいくつかの方法がありますが、一番簡単な目安は2つです。決算書の読み方が苦手な社長でもすぐ分かります。

借入限度額

借入れの心得として一番肝心なのは、返済する力がなくなるほど借りすぎないということです。では実際、いくらまでなら借りてよいのか、その目安となるモノサシはないのでしょうか。実はこれが存在するのです。代表的なものを2つご紹介します。

借入金の月商倍率による判断

文字通り、借入金の合計額が月商の何倍かという指標です。超簡単です。決算書を読めなくても、直ぐに判断できます。正確に言うと、短期借入金と長期借入金、そして割引手形の合計額を月平均売上高(現金売上高)で割ったものが月商倍率です。

借入金月商倍率は、業種・業態によって多少のばらつきがあります。

大きな目安は、業種が流通業(卸売、小売り)と建設業の場合は、借入金の目安は月商の3ケ月、6ケ月が生死分岐点です。つまり、6ケ月以上の借入をすると、なかなか現状の売上と利益で借金は返せない世界に入ります。

サービス業や製造業、通信・運輸業では借入金の目安が月商の4〜5ケ月分が安全圏となります。

借入金の限度額

では、次に、具体的に目安とすべき黒字企業の平均値を示すので参考にして下さい。

支払利息の割合で判断する

借入金の適正額をみるもう一つの簡単な指標は、売上高対支払利息割引料です。文字通り、売上高100に対して、利息をいくら払っているかで判断します。こちらは、次の表にあるように業種に関係なく売上高の1%以下が目安になります。不動産業は資金を長く寝かせるので、支払利息の割合は程度3%となり、ここでは除いています。

黒字企業の平均データ

会社 価格帯 出店方法
ニトリ 低価格 郊外のロードサイド
ヨーカドー 中価格  
大塚家具 高価格 都市部の巨艦点

借金の限度額の目安をお話ししたので、一つ社長が誤解しやすい返済上の注意点をお話します。それは、100利益が出て稼いでも、100が全額、借入金の返済にまわせないと言うことです。少なくとも、利益の100に対して約40%の税金(法人税・住民税・事業税)がかかります。配当をすれば返済原資はもっと少なくなり利益の三分の一程度になってしまいます。

理屈では、税引後利益+減価償却費が返済源とは言いますが、実際は、お金がなかなか残りません。だから、経常利益の1/3程度が返済原資の限度と考えるのが社長の正しい認識です。

借入限度を超えたら

借入限度を超えていたら、まず困ってもこれ以上借りない体質を作ることです。基本は、経常利益を出し続けること。次に、在庫、売掛金の適正水準を決め、お金を眠らせない。さらに、入金の後に支払をする事を心がけます。

中長期の返済計画を作り、将来の数字を目で見える形にして、実行してみます。

また、事業継続の不足の資金調達に備えて、金融機関は複数行と付き合うことが大切です。中小企業では、地銀、信用金庫を付き合っていたほうが今は資金調達がしやすい時代です。制度的に地域金融機関は新アクションプログラムと言って地元中小企業を支援すべしとの方向にあるからです。

最近流行のビジネスローンは、麻薬なので使いません。借り癖病には注意です。

国民生活金融公庫、中小公庫などの政府系金融機関とは借入実績を作っておくと、次回の借り入れが割とスムーズにいきます。返済の実績を作っておけば、不足の場合の借入枠を残しておくのに近いのです。借り増ししないことが原則ですが、社長は将来の不測に備え資金調達の道を残しておきます。

また、過度な借入であれば、取引金融機関に約定変更をお願いしてみます。

保証協会付きの借入については、運転資金であれば10年以内で借換をお薦めします。10年以内なら追加保証の審査を受け付けてくれるからです。

借入限度を超えていても打つ手は無限にありますが、「借入限度額を知ることは、社長の転ばぬ先の大きな杖」になるのです。

今回の改正ではオンライン申請の導入を前提に見直しが行われました。オンライン化への移行は、来年3月までに、全国で100庁がオンラインになり、3年後は640庁で完全移行の計画です。近場で言うと、東京では中野出張所、神奈川では栄出張所(横浜市)、埼玉では上尾出張所、がオンライン化しています。千葉は来年からです。順次増えます。

法務局のオンライン化計画

新・旧法務局で共通のもの

不動産登記の時

今まで、売買の不動産登記申請は、その売買の契約書を添付することは必ずしも必須とされていませんでした。関東では、主に申請書副本という申請書の写しのみを添付し、契約書や登記用の売渡証書は添付していませんでした。

今回の改正では、登記原因である売買の実態を証明することが必要とされ、「登記原因証明情報」を必ず添付しなければならなくなりました。取引事実の証明の厳格化が行われたのです。この点は、法律上は今回の一番の改正点です。

ただ、登記を司法書士にお願いしている場合は、司法書士が用意する書面に記名押印をすれば足りますので、法務局はオンライン化する前なら社長の手間は今までとあまり変わりません。ご安心下さい。オンライン化前は、権利書はそのままです。

中間省略登記

不動産業者やデベロッパーは、登録免許税・不動産取得税を安く済ませるために、A→B→Cと所有権が順次移転するのにBを飛ばしてA→Cとする中間省略登記を利用していました。しかし、この度の改正で売買に関する具体的事実の交付を義務付けられたことにより、できなくなりました。実際は2つの登記申請を一度にできるかもしれませんが、目的の登録免許税・不動産取得税の節税策はなくなりました。

権利書をなくした

権利書を紛失した場合に再発行ができない点も変更がありません。従来は保証書を言う書類を作成して権利書に変えていましたが、今後は、法務局からの本人限定郵便を受領し、その中の書類に実印を押し本人確認するか、司法書士、弁護士(登記を業とすることができる代理人)が本人を確認することになりました。この場合も司法書士に任せれば、社長に大きな負担はありません。

権利書をなくした場合

オンライン指定庁になると

オンライン指定庁というのは、オンライン化された法務局と考えると簡単です。

権利書がなくなる

所轄する不動産の法務局がオンライン指定庁になると権利書がなくなります。

従来、売買登記や、抵当権設定登記の場合、原因証書(売渡証書、抵当権設定契約書)は、法務局で提出した結果、受付印が押印されて返却され、これを登記済証とか権利書と言ったのですが、改正法後は、法務局が提出書類を保管することに変わりました。これにより登記済証が戻ってこなくなり権利書はなくなります。権利書の代わりに、法務局は12桁の英数文字列からなるいわゆるパスワード(登記識別情報といいます)を発行します。

例:12桁のパスワード  123XYZ789012 

そもそも、権利書の目的は、所有者の本人確認が目的なので、従来は本人確認を「権利書」と言う紙で行いましたが、これからは、このパスワードで確認するのです。そして、権利を取得された方が、次回不動産を売却したり、抵当権を設定する場合には、法務局にそのバスワードを提示し「登記識別情報通知」を受けます。

登記識別情報通知

また、気になる今、持っている権利書は、所有権を全部移転するか、その所有者が亡くなるまでは永久に有効となりますので、そのまま大事に保管して下さい。しかし、中野区の法務局のようにオンライン申請の指定庁になると、新しく所有者になる次の人から権利書の発行がありません。

権利書がなくなる