増益

増収増益の鉄人(1)
企業再建23勝無敗「永守重信」

第34号2005年1月

資金
2005年 社長の最新資金対策!
節税
最近の税務相談事例から(2)!
増益
増収増益の鉄人(1)
企業再建23勝無敗「永守重信」
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新年の最重要課題

日本電産社長の永守重信氏は日本経済新聞が2004年1月に実施した「平成の名経営者ランキング」で市場関係者の投票結果で第1位となりました。別名、「平成の再建王」の威名をとります。永守社長は日本電産の経営だけでなく、この30年弱に何と23社の再建を手がけ、しかも「23勝無敗」の実績をあげています。ではそのノウハウは!

ゴーンさんとの違い

企業再生には漢方薬で治す方法と、従業員を削減し赤字事業は切り捨てる大手術で立て直す西洋療法があります。永守社長は漢方療法、日産のゴーンさんは西洋療法。永守社長は、社長など経営陣は代えず、人減らしもしないで、仕事のやり方を徹底的に変えて企業再建を行っていきます。

 

再建の判断は技術力

永守社長が企業を買収するかどうかの最大のポイントを技術力においています。陳腐化せず今後の事業に生きる技術を持つかどうかを見ます。労使関係や社員が怠けて働かないといった問題は1、2年で解決できますが、技術力を蓄積するには10年はかかるからです。

再生の手法はいつも同じ。「一年でメドをつけ、三年以内に再建を完了する」方針を貫いています。不採算事業の廃止などは、成果が出て、従業員の安心感が高まってから実施します。積極投資に向かうのは最高益を出してからです。技術なくして再建なしと言えます。

再建の心得

では永守流「再建心得」を探ります。

心得1 社長の強い意志

日本にも経営のプロはいますが、企業再建は別物です。強風下で飛行機を操縦するようなもので安全に着陸できる人はごく限られています。再建には並外れたエネルギーと能力が必要です。

永守社長は「私は買収した会社の個人筆頭株主になり、失敗すればすべてを失う覚悟で再建に打ち込みます。自分の金で株式を取得し個人筆頭株主になります。場合によっては、旧経営陣の個人保証を自分に移すことすらあります。

永守社長は、長年、会社に朝6時50分に出勤し、帰りは午後11時を過ぎます。元旦以外は土日祝日を含めて全て仕事しています。社長が猛烈に働いているからこそ、社員も従っていきます。

心得2 6S改善と出勤率向上

多くの赤字の会社では、社員がやる気を無くし、遅刻や欠勤が増えていきます。再建を手がけた23社では出勤率は良くて90%、悪いと80%台前半でした。次に赤字会社は「整理、整頓、清潔、清掃、作法、しつけ」の6Sが悪化して職場が汚れていきます。6Sは良い社員、良い会社、良い製品の3Qにつながります。社員の士気はこの「6S3Q」に集約されます。再建では6Sと出勤率の向上を徹底します。

6Sと出勤率の向上に図る過程においては、たとえ労働組合が反対しても、永守社長は「もし利益が上がらなければ、過去1年間に遡って、自腹で全社員の出勤手当を支払う」と約束し、組合が反対のビラを3回まいたら自分は5回まく。妻にも手紙を書き再建の趣旨を説明し、やるときは徹底します。6S改善は言いっ放しではなく、点数をつけて月二回ずつ一つ一つ目標に到達しているかを点検します。

2003年に出資した三協精機製作所の場合、経営再建に入る前は、出勤率は90%を割っていました。6S3Qの点数は100点満点で5点でした。しかし、出勤率は2カ月で98%まで上がり、6S3Qの点数も上がってきました。買収前まで毎年50億円の営業赤字を出していましたが04年4―9月期は半年で38億円の営業黒字とりました。

日本企業の再生に必要なのは社員の心の再生。社員の能力差はせいぜい2、3倍。しかし、絶対に売ってみせるという意識の差は100倍から1000倍の差があります。社員の心をつかんで変えるのがトップの役割といえます。

心得3 幹部への宿題

永守社長は、再建を引き受けたら週に1〜3回会社に行き、現場を細かくチェックします。全支店の伝票を細かくチェックして、新聞の購読部数に至るまで削るべき経費を指示します。

そして会社訪問時に役員には、来週までの宿題を具体的に出します。例えば、購買コストが高ければ「仕入先に二割引いてもらってこい」と伝える。この時、購買額の上位10位は自分で引き受け、次の10社は専務の担当と決めます。この「宿題」についても成果を出せているかを厳しくチェックします。

心得4 顧客訪問回数三倍

1998年2月。日本電産はカメラのシャッターを主に生産していた電子部品メーカー、コパル社を傘下に収めた時は、営業部隊に顧客の訪問件数を三倍に増やすよう求めました。同時に心得3の仕入れ先に頭を下げて値下げを実現するよう迫りました。その結果、一年で赤字は消え、二年後には最高益を出すところまで経営が改善しました。

【梶間のズバリ一言!】

会社の善し悪しは、まず99%社長次第と心得る。だからまず社長自らの姿勢を正すことが大事。社員育成は6S(環境整備)を徹底する。次に社長の定位置は社外で、受注型事業はお客様訪問、見込型事業は店まわりを徹底する。再生の方法は基本的ですが、再建の精神と実行力はウルトラ鉄人です!