節税

知らないと怖い「連帯保証の相続!」

節税:目次

  1. 具体例
  2. 回答
  3. 解説

第30号2004年9月

資金
会計ソフトとの新型ローンの提携!
節税
知らないと怖い「連帯保証の相続!」
増益
セブンに学ぶ「商売の基本原則!」
増販
売上増の方程式を作ると快進撃が始まる

前月、「借金の相続!」のお話をしたところ、連帯保証についてお問い合わせがありました。今月は「連帯保証の相続!」の話をいたします。では簡単な具体例で説明しましょう。

具体例

オーナー社長をAさん、奥さんをB子さん、長男をCさん、次男をDさんとしましょう。

この社長のAさんが亡くなってしまいました。Aさんの会社は不振で1億円の銀行借入がありAさんが個人保証していました。この連帯保証は相続では、どうなるのでしょうか?(以下、敬称略します)

回答

  1. この場合の相続人は、妻B子とお子さんの長男C、次男Dです(民法890条・887条1項)。
  2. そして、連帯保証も相続で移転します。
  3. 従って、亡くなった社長Aさんの連帯保証1億円は、原則として、相続人であるB子、長男C、次男Dに法定相続分で相続されます。
  4. 後継者であれば、連帯保証の相続はやむを得ません。経営に関係しない遺族は、銀行に連帯保証引き継ぎの有無を交渉します。
  5. 遺族にマイナス財産のリスク可能性が大きいときは相続放棄を検討します。(3ケ月内)

解説

1:連帯保証の意味

まず連帯保証の意味を確認しましょう。社長のご子息であれば当然ご存知でしょうが、連帯保証人は借主と全く同じ責任があり 、借主が返済できなければ直ちに連帯保証人自身が支払うことを要求されます。今の日本法律では、借主と連帯保証人は実質上、ほとんど同じ責任です。

2:連帯保証は相続でなくなるのか?

では、この連帯保証はオーナー社長がなくなるとどうなるのか? 相続では資産だけでなく借金なども相続され、オーナー社長がしていた連帯保証も判例で相続対象とるとされています。

つまり保証債務は原則として保証人が死亡しても消滅しません。これは、保証人の死亡という偶然の事情によって、債権者(金融機関など)が不測の損害を被るのを防止すると言う趣旨です。保証債務は法定相続の割合にしたがって各相続人に引き継がれることになります。

3:連帯保証は債務控除できるか?

連帯保証は法定相続分で相続されるということであれば、「相続税の計算をする際、不動産などのプラスの財産から連帯保証額を債務控除出来るのでは?」とお思いの方もいるでしょうが、実は連帯保証をしているだけでは相続税の計算では債務控除はできません。

と言うのは、相続の時点では、まだ連帯保証人が債務を肩代わりしなければならない事が確定していないのでプラスの相続財産から引けないのです。

債務控除の対象となるのは、社長が会社の借入を肩代わりした上に、会社が破産等をしており回収が出来ないことが明らかな場合に限られるのです。

4:相続時の遺族の対応

事業後継者であればともかく連帯保証の引継ぎはやむを得ません。しかし、経営に関係のない子供たちであれば、連帯保証を引き継ぐということはリスクだけ負わされ、何の相続税法上の恩典もない債務と言うことになってします。そこで、経営に関与しない遺族はどうすれば良いのでしょう?

このような場合、経営に関与しない遺族は、きちんと銀行に自分自身が会社経営に関与しないことを説明した上で、父がした保証についても後継者のみが保証するように保証契約を変更して頂くことが重要となります。しかし、これは正直、厳しい感じがします。

むしろ遺族としては、遺産分割で保証債務のリスクを織り込んだ額でプラスの財産を相続できるような遺産分割案を銀行に説明することが可能性として残ります。銀行が認めてくれるかどうかはケース・バイ・ケースです。いずれも場合も、遺族と金融機関側が立場を考えながら交渉の落としどころを見つけて行きます。

銀行との話が折り合わず、会社の返済能力等の問題が依然としてクリア出来ない場合は、相続人は相続を放棄することができます(民法第915条ほか)。相続放棄を行うには、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てなければなりません。