節税

知らないと怖い 「借金の相続!」

第29号2004年8月

資金
最近流行の「ビジネスローン」を切る!
節税
知らないと怖い 「借金の相続!」
増益
超速増収増益「ベストテン作戦!」
増販
経営計画は、売上増計画から(飲食編・後半)

知っていますか!「借金の相続!」簡単な具体例で説明しましょう。

具体例

社長をAさん、奥さんをB子さん、長男をCさん、次男Dさんとしましょう。

この社長のAさんが亡くなってしまいました。Aさんには事業が失敗したことによる借金が1億円ありました。この借金をめぐる相続は、どうなるのでしょうか?(以下、敬称略します)

回答

  1. この場合の相続人は、妻B子とお子さんの長男C、次男Dです(民法890条・887条1項)。
  2. そして、「相続人は・・・被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」(民法896条)します。この「義務」のなかには、借金が含まれています。
  3. 従って、亡くなった社長Aさんの借金1億円は、原則として、相続人であるB子、長男C、次男Dに相続されます。
  4. また、借金1億円の相続割合は、配偶者と子供が相続人である場合、民法の定める相続分は各2分の1ずつです(900条1項)。

つまり、B子は50%の5000万円、長男Cは2500万円、次男Dは2500万円です。

解説

プラスの資産は話し合いで法定相続分と異なる割合で分割してもかまいませんが、借金(債務)は必ず法定相続分で引き継がなければなりません。

事業を失敗した社長Aの場合、たとえ、奥様や子供が事業に関係していなくとも、相続の放棄などをしない限り借金の引き継ぐことになります。

ですから、プラスの財産がマイナスの借金を上回る場合はいいですが、借金が多い場合は、相続人は大変なことになってしまいます。

そこで民法では、相続財産を引き継ぐかどうかを相続人に選択することができるとしています。

プラスの財産もマイナスの借金も全部引き継ぐことを「相続承認」、財産の引継ぎを拒否することを「相続放棄」といいます。もちろん財産のみ引き継いで借金を拒否することはできません。

また、相続人間での遺産分割協議で、債務については長男Cが全額引受ける約束をしたとしても、それは相続人間での契約であって、第三者である債権者に対し主張することはできません。具体的には、銀行などの債権者には主張できません。

つまり話し合いで長男Cが債務を継承するとしても、銀行などの債権者は法定相続分に応じて次男Dや奥様Bに請求ができるということです。この場合長男Cが債務を負うことを銀行(債権者)が承諾すれば次男Dや奥様Bの債務は免責されますが、まず銀行(債権者)は承諾しないのが普通です。

なお、債務は長男Cが払うという契約は有効ですから、次男Dが支払った債務は長男Cに対して求償することができるのです。

※根拠となる判例:

(東京高裁昭和37年4月13日決定)

遺産分割の対象となるものは被相続人の有していた積極財産だけであり、被相続人の負担していた消極財産たる金銭債務は相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されるものであり、遺産分割によって分配せられるものではない。

用語解説

相続放棄

相続放棄とは、相続人が亡くなられた方の財産を全く受け継がないことです。

相続放棄をしようとする方は、相続があったことを知った時から3ヶ月以内に、放棄する旨を家庭裁判所に申出なければなりません。

この申出は、個人の意思で自由にできます。

限定承認

限定承認とは、亡くなられた方の財産を条件付きで受け継ぐことです。つまり、相続人は、亡くなられた方の財産の限度で、亡くなられた方の借金を支払うという条件で相続をするのです。

限定承認をしようとする方は、相続放棄の場合と同じく、相続があったことを知った時から3ヶ月以内に、限定承認する旨を家庭裁判所に申出なければなりません。

ただし、相続放棄とは異なり、限定承認は相続人の全員で共同してする必要があります。