資金

社長のための 間違わない資金対策

実質金利で交渉し金利を下げる!

第26号2004年5月

資金
実質金利で交渉し金利を下げる!
節税
減税有・増税有 今年の土地税制!
増益
蛇口作戦で売上を伸ばす!
増販
業種別増販増客成功事例をご報告

金利は社長の最も感心の高いもののひとつです。しかし、それは借入金や預金の約定金利についてであって、実質金利についての関心は意外なほど低く、全く知らない社長も決して少なくないのです。ここ一年を振り返ると金融機関は、しっかりと融資先に対し貸出リスクに見合う金利値上げ交渉を行いました。

私から見ると多くの企業で金利の理解不足から銀行との金利交渉で損をしていると思えることがあります。そこで、社長として必要な正しい金利の考え方を説明すると共に、金融機関との金利交渉のコツをお話しします。

実質金利を知る

まず社長は、借入金利を約定金利でなく実質金利で考えます。実質金利というのは、実質の借金に対する実質の利息を言います。例えば、今1000万円の長期借入金をした場合に、200万円の両建て預金をした場合を考えてみよう。使える借入金は、実質800万円です。ところが借入金の利子は1000万円分に対して支払います。今は、預金の200万円の受取利息はほとんどゼロ。そうするといったい正味の借入800万円の利子とその利率はいくらになるのか社長が考えなくてはなりません。この正味の借入800万円の利子を実質金利と言います。

実質金利 =(支払利息 − 預金利息/借入金−預金) X 100%

実質金利は借入金と預金の利率が違うために約定金利よりも高くなります。そして与貸率が上ると、実際に使える借入金の純額が少なくなり実質金利は高くなります。社長は、実質金利が約定金利よりも高いことを忘れてはいけません。

金利は銀行の売上です。儲けの舞台裏である実質金利を金融機関から説明することはありません。だからこそ銀行との金利交渉では実質金利で交渉するのです。

銀行という弁慶にも泣きどころが2つあります。一つは実質金利をつかれること、もう一つは定期預金の解約です。定期預金の解約は今後の銀行との関係を疎遠にすることから最後の手段です。

まずは実質金利をついて、銀行に嫌な顔をさせれば1人前の社長といえます。

社長は金利に強くなることが必要です。2003年の中小企業白書では、「社長の金利知識が豊富な企業は借入金利が低い」と言う興味深い調査報告がなされています。

(紙面の関係で詳細略)

金利交渉のコツ

実質金利が理解できたらここ一年の金融機関が金利値上げを要請してきた事情をみてみましょう。

金融機関の立場を知る

今回の金利引上げ交渉は、あくまでも金融機関お願いベースの申し出になっています。銀行が弱腰なのは、現在の金利引上げが経済環境の変化によるものではなく、金融機関の都合による金利引上げに他ならないからです。金融機関は、自行の収益を確保する意味からも、債務者(貸出先)に対して、信用リスクに応じた金利を設定し企業と交渉したのです。それでは、会社としてはこれから、どう銀行と交渉すればよいのでしょうか。

金利交渉の基本

金利交渉の実務は実質金利です。では実質金利を低くするにはどうしたらよいのだろうか。ひとつは借入金の金利を下げてもらう。もう一つは、預貸率を低くする。この2つが基本です。

借入金の金利を低くすることに説明は必要ありません。借入金の約定金利の低下は、そのまま実質金利の低下になります。

次の与貸率は、借入金を返したり、定積をしていくと、知らない間に実質金利は上がっていきます。このような場合には銀行に交渉して金利の引き下げをしてもらいます。与貸率の算出は、会社全体と銀行別の両方をやります。全体の預貸率は、わが社の状況を知るためであり、銀行別の与貸率は実質金利引き下げのための情報を手に入れるためです。この時社長は、銀行ごとの実質金利の差の大きさに驚くはずです。

銀行との金利交渉では、「実質金利一覧表」を持っていっていくと大変効果があります。実質金利で年1回は金融機関と金利値下げ交渉してみましょう。

金利交渉の10箇条

  • では、社長の正しい金利交渉のまとめです。
  • 基本は実質金利で交渉する。
  • 経営計画で会社の今後を説明する
    ※自社の格付引上げに努力する。銀行の金利値上げの理由は自分の都合です。
  • 預貸率の改善。定期預金取崩での借入金圧縮や預担借入は担保預金充当で返済する
    ※金融機関に喧嘩をせず相談しながら。
  • 出来るだけ多額の借入を低金利の公的(政府系)金融機関借入にシフトする
  • 担保別の金利適用を交渉する。
  • 増資や少額私募債などの自己調達を図る
  • 金融機関に対する過去の協力実績を説明すると効果的。
  • 他社と情報交換をして、引上げ時期は他社の引上げが一巡してからにしてもらう
  • 他の取引金融機関との取引への影響を引き合いにして、引上げ幅を押さえる
  • 自社の信用格付けについて質問する。
    銀行の金利値上げ交渉では、銀行の行内格付けの内容開示が不十分なことが多い。

社長の皆さん、「実質金利チェックリスト」を片手に銀行を交渉して見て下さい。