増益

増益の魔法の書「実践経営計画」
ノウハウ!

経営計画書を持っていない会社は数多くあります。または、作っていても銀行からお金を借りる目的のモノであったりして、実際に事業では使われていなかったりすることも多くあります。

しかし、他方で経営計画を利用して業績を伸ばしている会社があることを、私は実際に自分の目で何度も見ています。

私の経験では、経営計画書が「ある会社」は、「ない会社」の10倍くらい確率で利益が出ている感じがします。感覚的な話ですが、断言できます。

それでは、今回は「企業ダントツプログラム」の最終回、「増益の魔法の書:実践経営計画」を説明していきます。1年間、ご愛読ありがとうございました!

まず、経営計画書のイメージを知る

社長の仕事は市場活動です。市場の主役はお客様です。ヨーカ堂では、組織図の一番上に「お客様」が書かれており、私は感心したことがあります。我社は、この市場で、お客様を商品と言う武器を通してライバル企業と取りあっています。経営計画書は、この「お客様」の要求を満たすために会社がどう行動すべきかを明確な形で紙に書いたものです。ちょっと、品のない言い方ですが、経営計画書は、市場でライバル企業とお金の「ぶんどり合戦」をして勝ち抜くための作戦書です。

経営計画のない会社の事業経営をイメージで言うと、「スピードメーターを付けない車で目的地も決めず車を走らせるようなもの」です。また、今、ちょうど原稿を書いている時、野球のオリンピック予選をやっていますが、野球で言えば、「打順、守備のポジションを決めず延々と試合をするようなモノ」です。これで試合に勝てると思いますか??

またに、「経営計画を立てても、目標通りに行かないから無駄だ」という社長がいます。経営計画が目標通り行かないと言うことは、それだけ会社のリスクが増していると言うことです。このリスクを埋めていくのが社長の仕事です。ですから、経営計画の放棄は、イコール社長業の放棄となります。

  • ポイント
  • 社長の仕事…市場活動
  • 経営計画書…市場活動で勝ち抜く書
  • 経営計画書…予定通り行かないから意味がある

経営計画書の定義

経営計画書を一言で言えば、「会社の未来設計書」と言えます。つまり、社長が手に入れたい未来の結果数値を明確な形にして、その為の全社の行動指針を示すからです。

ここで、経営計画書を作る3つのメリットです。

1. 利益が急増します。経営計画書で社長自ら増収増益の道を知ることができます。経営計画書で会社の人・モノ・金をお客様活動に集中させるからです。アメリカで流行っている各種の成功学のノウハウの基本型も経営計画書と同じです。

2. 社長が今、何をしなければならないかを気づきます。実は社長が経営計画書を作る以外に我が社の全体像を理解する方法はありません。「自信満々のオーナー創業者が経営計画書を作ると、今まで気づかなかった多くの課題・問題に気づく」場面を私は数多く見ています。

3. 経営計画書で社長の決意・目標・方針・行動指針などが明確に示され社員の動機付けにも役立ちます。私は経営計画書が唯一の社員教育の教科書と考えています。さらに、副次的な効果として金融機関の信用も高まります。

さて、これからは経営計画書の作成手順ですが、書店に行くと、○○方式、××方式だとか有名な先生の作成フォームがありますが、経営計画書のフォーム自体には、あまりこだわる必要はありません。

私の場合は20代に一倉定先生に教えて頂いた経営計画書の作成方法をベースに独自の工夫を加えて使っています。

経営計画書の作成手順

1:お客様訪問

経営計画書はただ作れば良いと言うわけではありません。会社は、お客様の要求を満たすことが仕事です。ですから、まず社長自らお客様を訪問し、お客様の要求を聞き、我が社が何をしなければならないか、社長が自ら感じることが不可欠です。

理屈で言えば、お客様第一主義だとか、重点主義(徹底して儲かる分野に経営資源を集中する戦略)だとか経営計画立案のコツはありますが、一番の基本は社長がお客様を訪問しお客様の声を聞き、お客様の心(要求・欲求)を知ることです。

2: 中期計画(5ケ年)を立てる

経営計画書には、5年間の中期計画と1年間の短期計画がありますが、まず先に立てるのは長期の5カ年計画です。中期計画では、5年後に会社が到達したい目標地点を社長が自ら明確にします。目標地点が売上10億円でも、経常利益2億円でも、株式公開でも、全国FC展開でも構いません。中期計画の内容は、目標となる数値と経営方針(ことばの部分)からなります。中期計画では詳細は決めません。紙で1〜5枚程度で十分です。

経営計画書の構成

中期計画の期間は3年でも問題ありません。極端な話、なくても短期計画がしっかりしていれば増収増益は可能です。

数字の計画である利益計画では、ご時世柄、金融機関は、「売上ほぼ横ばいの利益計画の方が現実的だ」とする傾向があります。しかし、社長は、実際は売上の増収を見込んだ計画を作り、売上の安定策と成長策を考えていくことが必要です。私としては、売上の安定と成長の双方を考えた経営計画書を事業発展計画書と呼びたいくらいです。

それと、くれぐれも言いますが、経営計画書は社長の目標、生き様を見せるモノなので、会社の幹部が作るモノではありません。社長が自ら作るモノです。「事業の人なり」の人は「社員」なく「社長」です。幹部の姿勢を正す前に、まず社長が自ら先頭に立ち、経営計画書で自分の姿勢を示さないと会社は良くなりません。世の中に、「良い会社」「悪い会社」と言う区別は私にはありません。あるのは「良い社長」「悪い社長」と言う区別だけです。

また、今、5年後の目標を決めますが、経営環境が変われば当然、会社の5ケ年計画を微調整して変更しても構いません。目的は、経営計画書を作ることではなく、我が社を経営環境に合わせて作り変えていくことだからです。

中期計画と短期計画の関係は、箱根駅伝で考えると良くわかります。箱根駅伝では全行程を走り抜きライバル校に勝つために、各区間の作戦を立てます。全行程が中期計画で、各区間が短期計画です。中期計画では駅伝の到着地点を決めます。

3: 年度経営計画

中期計画ができたら、年度の経営計画は具体的に作ります。5年度の中期計画の目標を達成するために、まず1年度目に会社が何をすべきかを明確に書きます。箱根駅伝との違いは、経営計画では第一区間だけは、特別詳しく具体的に計画します。

なぜなら短期計画は、今後1年間の「アクションプラン」「実行プラン」だからです。短期計画では、目標の売上高、利益、自己資本、借入残高などの数値目標を達成するために、全社のアクションプラン(方針書)を明らかにします。

経営計画と箱根駅伝

【 数値の目標 】

売上金額については、会社の必要利益から逆算して決めたり、マーケットシェアから決めたりします。

ただ、会社の再生のような場合には、必ず?必要利益を先に決め、次に?売上予想を決める、そして最後に?許容原価を決めます。つまり、許容原価=売上見込−必要利益とします。このように、事業経営は逆算となります。また、数字は上の2桁を決めれば十分です。細かくすると頭に入らなくなります。

従って、社長はまず我社がどれだけの利益をあげなければならないかを把握するために「利益計画」を作成します。

次に利益計画の利益を確保するために、「販売計画」(個別計画の中心)で明確にします。さらに、販売計画では、見込み型企業であれば商品が命なので「商品別販売計画」受注型企業であれば得意先が命なので「得意先別販売計画」が不可欠です。両者があればベストです。

また、必要に応じて設備計画要員計画、売上をあげるための内部の整備計画を立案します。

以上で損益面の計画が出来あがりました。次は社長が一番苦手な資金の計画です。社長は、利益計画にしたがって資金運用計画を作成します。さらに利益計画と資金運用計画を作成した後、その両者を使って目標貸借対照表を作成します。そして、この目標貸借対照表で将来に向かっての財務分析を行います。最後に、資金繰り計画を作成します。資金の計画は、初めは取っつきにくいですが、社長の仕事は「数字を作る」です。資金の計画には、加減乗除しか出てきません。是非、勉強して下さい。

また、会社再生時は、内部を圧縮して利益を創出する資産圧縮計画原価改革計画が短期計画に入ってきます。企業再生時は、会社を伸ばすことだけではなく、縮むことも考えます。

数値の計画の体系

【 方針書(アクションプラン) 】

方針書は従業員への社長からのメッセージで、当然、社長が自ら書きます。

社長は、自らの経営理念や、社長の考える目標、夢、未来像、例えば、株式公開、地域一番店と言う目標を明確にします。その未来像を、どのようにして実現するか、という基本的な行動指針が方針書になります。方針書が経営計画の“魂”の部分です。経営計画がホンモノかニセモノかは、社長が自ら筆をとった方針書であるかどうかで決まります。だからこそ、方針書は経営計画の“絶対条件”です。方針書の作成にはコツがあります。

1. 社長が自ら書くこと!!!

方針書は、経営計画書の魂の部分(つまり全社の行動指針)です。だから社長が自ら書きます。

2. 過去にふれない

営業報告ではありません。現在が出発点です。

3. 社長の姿勢を示すものであること

方針書というのは、社長として自社をどのようにしたいのかを示すものです。だから方針書では「○○する」と書き、「○○せよ」ではありません。

4. 具体的に

例えば、「お客様訪問の徹底」と言うスローガンでは曖昧で、「お客様訪問徹底の為に顧客のランク付けをする」「定期訪問基準」を定めると言うように具体的に書きます。

5. 重点主義

方針書は短く書きます。全部でも10ページ以下。あらゆる事を書くと焦点がぼやけて、皆できなくなります。「これだけは」と言うモノを書きます。

では、方針書の個別項目をみてみましょう。方針書は、優良企業の場合と、会社再建型(経営改革型)では重点が異なってきます。

方針書:インフレ期優良企業型 【イメージ】

方針書:デフレ期優良企業型 【イメージ】

4: 経営計画発表会を開く

社長の考えがまとまり経営計画書ができあがったら、全社員を集めて経営計画発表会を開催します。

経営計画発表会は、会社で一番大切な社内イベントです。

経営計画の発表会は社長の姿勢の発表会であり、社長の独演会です。ですから、社員の質問は受け付けません。

応用として、社員に対しては経営計画発表会(経営に関する数字も伝える)を開き、パート社員に対しては方針発表会(行動指針に重点を置く)を開くこともあります。

経営計画の発表会の後は、簡単な懇親会をします。この場では、従業員から色々な希望、質問も出てきます。社長はここでも自ら経営計画書に従った社長の姿勢・考えを示してください。

また、経営計画書の発表にあたっては、経営計画の名称を、例えば「チャレンジ21」等キャッチフレーズをつけると従業員の諸力を結集しやすくなります。

5: 経営計画書の繰り返し徹底

経営計画書は、朝礼、重要な会議、昇進試験の問題、ボーナス時に支給条件の代わりに書かせるなど、繰り返し徹底していきます。

社長としても経営計画書の表紙を派手にし、会議に忘れたら、すぐ分かるようにしたり、手帳型にして常に従業員が携帯できるようにしたり工夫しています。

さらに経営計画の実行のために、会社のキーマンを中心にした経営計画の推進プロジェクトを組織し「チャレンジ21プロジェクト」等とします。さらに、事務局を任命し社長の事務を補佐させます。

6: 経営計画書の定期チェック

経営計画書は、定期的にチェックされなければなりません。最低でも1ヶ月に1回はほしいところです。チェックのやり方としては、毎月経営計画書の事務局が資料を事前にまとめておきます。

ここでおもしろいことがあります。毎月1回、一堂が会し、経営計画書に、事務局が読みあげる数字を、各自が自分で実績欄に記入するという会社がありました。実に数字がよく頭に入ると言います。特に自分で記入するところに意味があります。デジタルの時代ですがアナログの対応の方が効果が高い場面です。

実績をとらえたら、次に対策の検討を行います。やり方に定型はありませんので各自思うようにやっていただければ結構です。

方針書の実行に関しては、それぞれの方針にプロジェクト計画書の提出を命じることがあります。大きな方針は社長が決めますが、日常の繰り返し仕事の計画は社員の担当となります。

また、月次の対策会議は日を決めて社長と役員レベル、課長レベル、プロジェクトメンバーというように階層別に行う会社もあります。

経営計画書の定期チェックで決定的に重要なのは、社員に対するものではなくて、社長自身の自らの経営に対するチェックです。社長自らの評価とは「計画書の数値達成」と「方針書の徹底」です。

社員に対して行うチェックは、方針書(社員の行動指針)にそった活動が行われているかどうかがポイントで社長自身の評価とレベルが違います。