資金

取引金融機関の経営方針・
信用力を知る!

社長として自社の取引金融機関の性格を知ることは不可欠です。得意先のことだけでなく、事業の安定した発展には「事業資金の確保」・「預金の保全」の視点から取引金融機関の経営方針、信用力を押さえる時代です!

なぜ取引銀行のことを知るのか?!

今は、上場会社が毎月2社ずつ倒産しています。年間2万件ある倒産の25%は業歴30年以上の老舗です。今はいかなる会社も100%安全とは言えません。ここで、社長として忘れがちなのが、取引金融機関の経営方針、与信力の調査です。自社の取引金融機関といえども、こちらから経営方針、信用力を調べ取引する時代です。

通常、金融機関を選ぶ時のポイントは、商品の充実度や有利性、取引コスト、情報提供能力やコンサルティング能力、店舗配置やIT(情報通信技術)時代への対応度などさまざまです。

最近はペイオフ対策の観点から、各金融機関の経営体力が注目されています。半期・通期ごとに発表される決算数字を参考に、より健全で信頼できる金融機関を知ることは、企業財産を守るために必要です。

また、ペイオフ対策だけでなく、融資に関しても取引金融機関の情報を押さえておくかどうかで、今後の資金調達や返済の条件に影響してきます。以下は、社長として、押さえておきたい金融機関をみるポイントです。

取引金融機関を知る!

チェック項目1:銀か地域金融機関か?

関東財務局は10月10日、管内1都9県(東京都と埼玉、神奈川、千葉、茨城、栃木、群馬、長野、山梨、新潟県)の地域金融機関がまとめた「リレーションシップバンキングの機能強化計画」の概要を公表しました。これによると各地銀、信金、信組は独自に企業再生支援に取り組むなど、地域金融機関が経済を支える役割を増す動きがうかがえます。

機能強化計画では取引先企業の経営支援や早期事業再生に力を入れる金融機関が目立ちます。例えば多摩中央信用金庫は今年、経営が厳しくても再生・再建見込みがある企業に対する無担保融資を開始しました。

機能強化計画では全体の約半数が企業の信用格付けモデルを活用し、担保や保証に依存しすぎない融資の仕組みを計画に盛り込みました。詳細は、各行のホームページで見られます。

金融庁は各金融機関が打ち出した計画を2005年3月末までに一定の成果を上げるよう求めており、半年ごとに進捗状況を確かめることになっています。

参考までに借入金の返済について言えば、2005年3月までは、都銀はドライで厳しく、他方地銀・信金・信組の方は企業再生に力を入れ、前向きの地元企業に関しては返済に協力的と言う傾向が予測できます。

また、中小企業は規模に合った取引金融機関と取引した方が、預金の面でも、融資の面でも大切に相談にのってくれます。

チェックポイント2:取引金融機関の経営方針を知る

次に社長として、「事業資金の確保・返済条件の交渉」「預金の保全」という視点で、取引金融機関の経営方針を掴んでおくことは必携です。

【 現場主義で金融機関に出向く 】

金融機関の実情のつかみ方です。時折、現場主義で金融機関に行き、支店長、担当者から経営方針、融資の方針をヒヤリングします。初めはなかなか、銀行の経営の状況は聞けませんが、訪問を重ね、人間関係が出来てくると、ある程度、情報が取れてくるモノです。社長は、得意先だけでなく、取引金融機関のことも絶えず情報を取ります。

【 ディスクロージャー誌を読む 】

 各社が年1回から複数回発行する経営情報開示資料です。最近は各行、とても充実しています。ディスクロージャー誌には過去の業績にかかわる数字やデータだけでなく、将来の中長期的な経営計画や経営理念、取扱商品(預金、融資)等が書いてあります。見やすく、読みやすい冊子を作成する―その工夫の度合いからは顧客への対応姿勢がうかがい知れます。銀行、信金、信組は支店に置いてあります。また、置いてなくとも窓口で無料でもらうことができます。積極的な情報開示こそ信頼性を生むことになります。ディスクロージャーの悪い金融機関は要注意です。

【 顧客応対力をみる 】

今後の生き残りの鍵「顧客第一主義」は金融機関の場合も同じです。顧客応対の悪い金融機関は要注意です。これはどの業界も同じです。

【 商品・サービスをみる 】

預金の場合も、融資の場合も商品の種類、メリット、コスト、利便性を総合判断して取引金融機関を決めていきます。

金融機関により、制度融資に力を入れていたり、ビジネスローンに力を入れていたり、横並びの金融商品が微妙に変化してきています。

【 借入過多の中小企業に対する方針 】

特に借入過多の会社の場合には、金融機関の自社に対する「格付け」と「回収方針・支援方針」を押さえておくことが必要です。具体的には、現場主義で金融機関とのコンタクトの中から情報を取ります。この情報から会社では、メインバンクを決め、時には変更し、返済計画を見直していきます。

チェックポイント3:取引金融機関の信用力を押さえる

【 自己資本比率、預金量 】

金融機関の信用力ですが、各行の自己資本比率と不良債権比率を他行と比較することで、その将来性をある程度占うことができます。当然、自己資本比率はより高く、不良債権比率はより低い方が健全です。それと、私は金融機関の与信は、加えて預金量の推移に注目したいと考えています。

同じことを東京都も言っています。東京都は公金を預ける金融機関選別のために、「格付けのほか自己資本比率や預金量の推移、株価」などに着目しています。

【 有力な手がかりとなる「格付け」 】

最近、金融機関の経営状態を知る有力な手がかりとして用いられるのは、企業の経営分析を専門に行う国内外の格付け会社による「格付け」です。

「格付け」とは、民間の格付け会社が企業の信用リスクの度合いを示したものです。格付け会社が対象となる企業の財務内容や業界の動向などを分析して、経営の安全性に応じて「A」「B」などの符号で分類しています。格付け会社にはムーディーズやスタンダード&プアーズなどの外資系企業や(株)格付投資情報センター(R&I)などの日本企業があります。

また、同じ企業に対する格付けが、格付け会社によって異なる場合が、ままあります。私見ですが米国の格付け機関の評価は厳しく、日本の格付け会社の評価は甘く評価される傾向があります。

格付け合格の目安はBBBのラインと言われています。BBB以上の企業を「投資適格」、それに届かないダブルB(BB)以下の企業を「投機的」と呼んで区分することが多いからです。R&Iが過去の実績からまとめた債務不履行率に関するデータでも、BBBの格付けの会社が5年以内に債務不履行になる確率は1.5%なのに対し、BB以下では7.7%に跳ね上がります。

格付けは、格付会社のインターネットのホームページを使えば格付けを見られるし、日本経済新聞では原則として毎月第一土曜日付・朝刊の企業財務面で、R&Iが付けた格付けを一覧表で紹介しています。

【 超簡単:経済紙で見る 】

経済誌と言っても誰でも見られる雑誌です。「週間ダイヤモンド(ダイヤモンド社)」「週間エコノミスト(毎日新聞社)」「週間東洋経済(東洋経済新報社)」では、ほぼ定期的に「金融機関特集」の各金融機関のランキングを発表しています。これは一番簡単で、金融業界のことも良くわかります。こんな簡単なこともしていなければ社長失格です。

関東の主な金融機関の格付け 2003年10月7日

【 株価 】

上場している金融機関では市場評価として、株価が一応の目安となります。株価は様々な思惑で動くもののその評価は1つの目安となります。低株価の金融機関は要注意です。さらに、新聞記事で今後合併や公的資金の投入の情報があれば注意します。経験則によると、経営が行き詰まった企業の場合、格付けよりも株価の方が先に下げ始めます。