資金

「借換保証」の利用ノウハウ!

10月20日、千葉県の保証協会で上期の保証承諾額が発表されました。そこで上期の一番人気の保証制度が借換保証制度でした。 保証承諾総額の4割弱を占めていました。

特に、中小企業では、いわゆる安定化資金の借換に有効です。安定化資金の保証は、全国で172万件、 28兆9000億円も行われ、今、その返済に困っている会社が増えています。

では、この借換制度の説明をしましょう。

借換保証の正体

正式には「資金繰り円滑化借換保証制度」と言います。この制度を利用すると、 信用保証協会の保証付き借入金の借換えや複数の保証付き借入金の債務を一本化できて、月々の返済額を軽減できます。 さらに、条件次第で追加的に新たな融資にかかわる保証も受けられます。

保証協会側からすれば、代位弁済を急増していることから、代位弁済額の歯止めをと言う意味があります。

制度の概要

対象は保証の申込時点で保証付き借入金残高がある事業者です。 信用保証協会の保証で借りている何本かの借入金を一本化(最長10年、据置期間1年以内を含む。)できるという制度です。

この借換保証制度には、4つの借換のパターンがあります。そこで、まず、自社がどのパターンか知ることがスタートです。

できたら後で説明するセーフティネット保証を利用した方が保証料が安く、一般保証枠をそのまま残せるので会社にとり有利です。

では、借換のパターンを示しますので、どのパターンに自社があてはまるか確認してください。

借換保証の4パターン

セーフティネット保証利用のための前提には、1号から8号の認定要件のどれかに該当することが必要です。 平成15年度上期の保証協会の資料では全国では、7号認定の利用が55%、 5号認定が43%であり、7号、5号だけでセーフティネットの98%となっています。 そこで7号、5号を説明します。

7号認定の説明

一番利用金額の多い7号認定とは、金融機関の合理化(支店の削減など)に伴う貸出抑制により影響を受けている中小企業者となっています。 正確には、下記の3つの条件がすべて必要です。

  1. 1. 金融機関からの借入額が、前年同期比で少しでも減少している。
  2. 2. 指定金融機関からの合計借入シェアが、総金融借入の10%以上である。
  3. 3. 指定金融機関のいずれか1つの金融機関かの借入が、前年同期比10%以上減少している。

5号認定の説明

5号認定は144業種に限定して指定されています。詳しくは、 1. 国の指定する構造不況業種に該当し、かつ 2. 直近3ケ月の平均売上高が前年同期と比べて5%以上減少している中小企業の方。です。

業種については、これは最寄りの金融機関、保証協会、ホームページで確認してみましょう。 認定は、市区町村で行われます。条件さえそろえば、市区町村で当日すぐに認定を行ってくれます。 下記は東京都の認定例です。

参考:セーフティネットの利用状況東京信用保証協会の場合平成15年4月〜6月)

また、5号認定では会社が事業を兼業している場合は資金使途の審査があります。

具体的には、今回の借り換える既存借入金の当初の資金使途が、 どちらの業種に係るものであるのかを確認します。

実際の手続き

では、実際の借換手続きを説明しておきます。

  1. 1. 取引金融機関に保証協会の借換保証を利用したいことと告げ、借換プランを相談します
  2. 2. セーフティネットの場合だけ+αの手続きが必要です
  3. +1)市区町村で1〜8号の認定を1つ受ける
  4. +2)「事業計画書」(標準ひな形があり、紙一枚)を作成する
  5. 3. 金融機関に融資・保証の審査書類を提出します。

利用のポイント

出来たらセーフティネット保証を利用する

そもそもセーフティネット保証とは、取引先企業などの倒産、取引金融機関の再編等に伴う貸出減少、 自然災害等により経営の安定に支障をきたしている中小企業に対し、 通常の保証とは別枠で保証する制度のことです。

1号から8号までの認定要件のいずれかに該当がすることが必要ですが、認定は7号か5号がねらいです。

認定には最寄りの市町村長の認定が必要になる分、一般保証より手続きが多くなります。

その代わり、借換えの保証を別枠で行ってくれます。つまり、通常、 会社で利用する保証協会の一般保証枠を、手をつけずに残していると言うことです。

また、セーフティネット保証の方が政府の政策上の支援がある分、保証料が安くなります。

また、借換保証をした場合、既存借入金の保証料は保証期限到来前の完済となるので、 一部戻ってきます。これはどのパターンでも共通です。

借換保証の4パターンの損得

保証期間について

借換保証では、原則10年以内となっています。また、据置期間は1年以内となっています。 既に条件変更により返済緩和していても、本制度の対象となりますのでご安心下さい。

ただ、据置期間中は、追加保証が厳しくなります。

増額借換についての留意事項

一般保証またはセーフティネット保証を借換える場合は増額借換が可能です。

ただ特別保証の借換の場合は、残念ですが増額借換はできません。

むしろ、ここで、強調したいのは、保証協会付けの借入金は10年以内で返済するように保証借入をしていないと、今、保証協会では実質的に保証の追加を受け付けていません。

安定化特別保証の借換では、まず10年以内の保証付きで借換え、半年ぐらい返済の実績を示してから増額保証の相談を保証協会にします。

複数の銀行の保証付き借入金の一本化について

A銀行とB銀行と言う複数と保証協会付きの借入金を一本化できます。ただ、ケースによっては不動産担保の設定、解除の費用を伴う場合もありますので、注意が必要となります。

金融機関に支払う金利はどうなるか?

貸出金利は金融機関と中小企業者との間で決めます。金融機関では、正常先、要注意先などの行内格付けで金利を提案してきますが、保証協会付きの借入金は、非分類債権といって金融機関にとって貸倒れリスクがきわめて低いので、金融機関の立場も考えながら、しかし、しっかりと金利交渉することが経営者の正しい姿勢です。

借換のデメリットも忘れなない!

借換は、一見、会社にとって返済が楽になる分、社長からすれば好ましいように思いますが、デメリットも忘れずに頭に入れておくことが必要です。

まず、第一に、借換をすれば、それだけ今後保証協会の保証を受けられなくなる可能性が高くなります。

加えて、安定化資金をセーフティネット保証でない、一般保証枠で借換えると、保証協会の保証枠が特別枠から一般枠に移るのでますます、保証協会が利用しづらくなります。安定化資金は特別枠を使った非常に政策的な、はっきり言えばほとんどフリーパスのような保証制度でした。

コツとしては、保証協会の借換は、少なくともラストヘビーの保証でなく、保証期間を10年以内とします。

また、第二に借換の本質は、返済の先延ばしです。しっかりと事業計画を考えて計画的に借り換えないと、いつか資金が詰まってしまいます。