資金

中小企業の「借りずにできる資金改善」の秘訣!

資金繰りで悩む中小企業経営者は多い。今回は、借りずに資金繰りを楽にするにはどうじたら良いのか漏れのないよう、体系をお話します。

まず資金繰り計画〜闇試合卒業〜

中小企業ほど、社長はカンピュータで資金繰りを考え、そして必要以上の心配をしていることがあります。この会社の社長は、自分は実は「闇試合」をしていることに気づいません。利口な社長は、資金繰り予定表を作成し、自分の心配を目に見える形にして、後は意識して必要残高が不足しないよう経営していきます。

資金繰り予定表は、「向こう半年の月別の資金繰り予定表」と日々の出入りを予定した「2月分の日繰り表」の2つがほしいところです。

資金繰表のフォームは、銀行の資金繰表が参考になりますが、各社で分かりやすい資金繰表から初めてOKです。

【 資金繰り計画 】

・6ケ月間の資金繰り予定表(月繰り)
・2ケ月間の資金繰り予定表(日繰り)

損益取引からの資金改善策

さて、闇試合を卒業し「資金繰り予定表」を作りました。次に社長が借りずに資金を増やす一番の基本は、「本業で利益を出す」ことです。

資金は、まず利益(資本の部)からつくらなければなりません。売掛金の回収方法、支払いの繰り延べなどの方法もありますが、会社の根本的な資金繰りの改善は「本業で利益を出す」ことです。

毎月の試算表では損益計算書の「営業利益」の部分です。

超簡潔ポイントです。短期の売上増のコツは、今、売れている商品に力を入れることです。適時、繁盛店を見て回り、マネが出来る長所はマネてしまいましょう。

コストの削減は、ビジネスレター7月号を見て下さい。(黄色のニュース「12ヶ月企業ダントツ化プログラム「社長の120%コストカット大作戦」」)

少しだけ復習すると、「コスト削減」の最重要キーワードは「止める→減らす→変える」でした。ポイントとなる表を再掲しておきます。

参考:「コストカット大作戦」より再掲

  • 損益取引からの資金繰り
  • まず本業の利益を出す(営業利益)
  • 売上:売れているモノに力を入れる
  • 売上:繁盛店をマネる
  • コストを削減する→「止める、減らす、変える」
  • まだある小技
    • アウトソーシングで固定費減
    • リース取引を利用する
    • 積立保険から掛捨保険に
    • 受託販売を利用する
    • 原材料の仕入で出来高払い
    • 補助金・助成金を利用する
    • 損益分岐点を引き下げる

忘れてならない貸借対照表

私が会計士だから言うのではありません。資金繰り改善には貸借対照表の理解が不可欠です。

「本業で利益を出す」次に考えるのが、貸借対照表からです。中小企業の社長は、正直な所、貸借対照表をあまりみていません。これは、会計事務所の説明サービス不足で、同業の私も心痛いところです。ですが、自分の財産の一覧表である貸借対照表を読むことも少し考えて下さい。

さて、貸借対照表は、左に会社の全資産(プランの財産)、右に全負債(マイナスの財産)が書かれています。売掛金、在庫、土地、建物、設備はプラスの財産なので貸借対照表の左、買掛金、借入金は、マイナスの財産で右です。そして、プラスの財産とマイナスの財産の差額が、純資産といって会社の純粋の手残りとなる財産です。

貸借対照表の構造

資産からの資金改善策

では、次から貸借対照表のどこから資金繰りを改善するのか説明していきます。

現金・預金

まずは、何と言っても「現金・預金」です。資産はプラスの財産です。資産からの資金改善では、まず会社が回るために必要な預金残高を把握するのが一番です。そして、毎日、預金残高を管理していきます。

そのために、会社では日繰りと月繰りの資金繰予定表を作っておくことが必要なのです。

  • 現預金
  • 必要な預金残高をつかむ
  • 毎日、預金残高をおさえる
  • 資金繰り予定表を実際に活用する

売掛金

次に、売掛金の早期回収に努めます。そして、売掛金は買掛金より先に回収できることを目標にします。営業取引で「売掛金−買掛金」の差額を回転差資金と言っています。簡単に言えば「入金日の方が支払日より早い」と言うことです。この会社の中心である営業取引で回転差資金を生むか生まないかは大きく資金繰りに影響します。回転差資金は得意先と仕入先の両面から攻めます。

また、回収は入金期日を過ぎた売掛先を、時間をあけず督促し回収します。もちろん、滞留売掛金は、先方にうるさく・うるさく督促し回収に努めます。

それと、今のご時世を考え与信管理に注意して下さい。帝国データバンクの資料では法的な倒産が年2万件前後となっていますが、任意整理・夜逃げなど表に出づらい倒産を含めると10万〜20万件の倒産があると言われています。

  • 売掛金
  • 回転差資金を考える
  • 入金期日の管理
  • 滞留売掛金の早期回収
  • 与信管理を忘れない

在庫

次に在庫対策です。過剰在庫は社長が思っている以上にあります。まず、自社の倉庫の棚卸しをして、必ず社長が立ち会って見て下さい。社長が思っている以上に実際の在庫は多くあります。

在庫は仕入業務、販売業務のどこかに、業務の不具合がある場合に、過剰在庫として表れてきます。仕入を社長の方針を示さず担当者に任せておいたりすると社長が知らない仕入れが多く在庫となっています。

過剰在庫は処分し、売れ筋商品中心に在庫に移行します。倉庫の場所を減らすと、不思議と在庫は減ります。

在庫は、例えば、内は売上の○○月分と適正在庫とするように目標値決め削減していく。

  • 在庫
  • 過剰在庫の原因を探る
  • 決算に関係なく棚卸しを実施する
  • 売れ筋商品中心の在庫
  • 適正在庫水準を決めろ
  • 不良在庫(年齢調べ)の早期処分

遊休資産

次の資産は遊休資産です。特に遊休不動産です。

何割かの中小企業では、バブルの時期に不動産・ゴルフ会員権を購入しました。特に優良中小企業ほど借金をして投資をしました。俗に「借金コンクリート」と言います。これらの資産は、含む損を抱え塩漬けになっていることが多く見られます。

これついては、資産の遊休度合い、収益度合いを考えて売却します。「赤字がでて、冗談じゃない」と言う社長もいることと思います。しかし、売却の時期は、本業で利益を出し、売却損はその時の節税項目として働きます。

むしろ、今から売却を考えておかないと売れないことも多いでしょう。本業の利益に合わせなくとも売却損は、5年間引き継ぐことができます。

遊休資産の売却は、キャッシュフローを増やすよう戦略的に考えます。

遊休資産の売却による赤字は、金融検査マニュアルでは、「一過性の赤字」と扱われ、銀行によく説明すれば金融機関から格下げ扱いになることもありません。

借金コンクリートについては、抵当権が付いているので銀行と慎重に相談して下さい。会社側は、1〜5年の経営計画の中で不動産の売却を考えていきます。

  • 遊休資産
  • 遊休資産は売却する
  • 売却損は計画的に節税に使う
  • 借金コンクリートは銀行と相談
  • 経営計画の中で考える

支払いからの資金改善策

買掛金

買掛金では、売掛金で説明したように回転差資金を考えます。つまり「入金の後に支払いする」のを目標にします。そのためには、支払条件を変更することも必要となります。主要な仕入先を変えるぐらい方法で支払条件を変えて下さい。仕入先を変えても会社はつぶれません。

もちろん、掛けで売るなら掛けで仕入れることが基本形となることを忘れないで下さい。

  • 買掛金
  • 回転差資金を考える
  • 支払条件を変更する
  • 仕入先を変える
  • 掛売りには掛仕入れ

支払手形

支払手形。現実的な話として、倒産にいたる最も危険な支払方法が支払手形です。誰でも分かっていることですが「支払手形は振り出さない」。すでに支払手形を振り出している会社は、根気強く支払い条件を変更していきます。私の関係先では、支払手形を減らすのに2年かかりました。

その会社では、手形払い場合は仕入先には3月後に支払われるのを、手形を振り出さずに2.5月後に支払うことにしました。後は、応用で2.5月の据置期間を延ばしていきます。

また、買掛金と同じように業者を変えることも検討します。

当然のことですが、支払手形は当面の支払いを延ばすだけで先の資金繰りを厳しいものにします。

  • 支払手形
  • 時間を掛けてもなくす
  • 買掛金にして、サイトを短縮して交渉
  • 業者を変える

借入金の資金改善策

最後は、借入金。これは中小企業の社長には頭の痛いことでしょう。3〜5年先の経営計画を立てじっくりと借入金の返済条件を考えましょう。借換、借換では、近いうちに限界がきます。

中小企業の場合の注意点を言います。

1. 借りない

今の時代の企業経営は借りないのが原則

2. 経営計画をつくり、計画的に返済する

金融機関は融資先をランク付けし選別しています。できたら自社のランクを知りたいところですが、積極的に教えてくれる金融機関もあれば教えてくれない金融機関もあります。

今の時代の企業経営は借りないのを原則としますが、融資先企業の格付けが下がれば、万が一の場合の借入が困難になります。この場合、融資先の格付けアップの一番の手段が経営計画です。金融機関では「経営改善計画」といっています。本来は経営計画は会社のために必須のモノですので誤解なく。

建物を建てるとき建築計画(設計図・工程表)が必要です。経営にも同じように経営計画がないと、いい会社ができません。

3. 信用金庫を中心に複数行とつきあう。

金融庁の指導で大手行の回収管理は厳しいです。地域型金融機関がリレーションシップバンキングと言って、地域中小企業の金融に支援する方向が定められているからです。だいたい平成17年3月までは、この方向が決まっています。

4. 保証協会利用のコツ

保証の追加は、お薦めしませんが、保証協会では、保証協会付きの借入金に無担保で10年長の保証があると、なかなか追加の保証相談ができません。10年以内で返済できるようにしていないと追加保証の可能性をなくします。念のために。

5. 公的融資を借入枠として残しておく

国民生活金融公庫、自治体の制度融資は借入相談枠として残しておく。

6. 苦しいときは約定変更の相談をする

  • 借入金
  • 借りない
  • 経営計画をつくり、計画的に返済する
  • 信用金庫を中心に複数行とつきあいます。
  • 保証協会利用のコツ
  • 公的融資を借入枠として残しておく
  • 苦しいときは約定変更の相談をする

(追伸)
筆者は、経営計画書は、格付けアップのためだけではなく、事業発展の魔法の書である場面を多くみています。これは、前月と同じ追伸になってしまいました。